スロウハイツの神様(下)を読了。また素晴らしい作品に出会った。。
スロウハイツの神様(下)を、読了しました。
また素晴らしい作品に出会い、最高の気分です。
皆さんも、「スロウハイツの神様」の世界に入り込んでみて下さい。
辻村深月は、人間の心情を描くのがとにかく上手い。
自分の心の中が洗い出されていく快感は、形容しがたい。
そして、辻村深月に出てくるキャラクターは、皆、自分の心の中で生き続けていく。
赤羽環、チヨダコーキ。二人の出会い。「コーキの天使ちゃん」
全てが繋がった瞬間に涙は止まらなくなる。
恐らく、この世界で毎日、幸福感を感じて生きている人ばかりではないだろう。時には、この世界に絶望して、何もかも投げ出したくなる。そんな時がきっとあるはずだ。
その時に、この作品に出会ってほしい。高校生は読んでみてほしいね。
そして、私はこの作品のあるキャラクターがとても好きになった。
それは「エンヤ」だ。エンヤは、とにかく赤羽環をライバル視する。
そして、赤羽環を越えようと、彼女を超える事を強く思って、毎日を過ごしている。
その気持ちが痛いほどわかる。彼は、赤羽環を超えたいのだ。痛いほどわかる。尊敬の気持ちを持てればどれだけ楽だろう。でもエンヤはそれが出来ない。だからこそ、彼は「スロウハイツ」を出ていった。自分に呪いをかけて。言霊は彼を縛り続ける。エンヤは、赤羽環を超える時が来るまで、必ず現れる事は無い。そして、その時は絶対に来ない。
でも、私はエンヤの気持ちが分かるのだ。超えたい、この人に勝ちたい。その感情を持つ事の何が悪いのだ。この人には勝てないと割り切ったらどれだけ楽だろうか。でも、エンヤの行動は、人間味に満ちている。だからこそ、彼が好きなのだ。
いつか、辻村深月さんに会ったら、「エンヤ」について聞いてみたい。
彼は、幸せになったのかと。